SLAとは、サーバー事業者が利用者に対して、稼働率など一定のサービス水準を示す取り決めです。法人向けサーバーでは重要な確認項目ですが、「SLA 99.99%なら絶対に止まらない」という意味ではありません。
30秒でわかる結論
- SLAはService Level Agreementの略で、サービス品質の基準や補償条件を定めた取り決め
- SLA 99.99%を年間停止時間へ単純換算すると約52分34秒
- 99.9%なら年間約8時間46分、99.999%なら年間約5分15秒
- SLAは「停止しない保証」ではなく、基準を下回った場合の補償ルールを含むもの
- 計画メンテナンスや利用者側の障害など、SLA対象外になる条件がある
- 会社案内サイトではSLAだけで高額プランを選ぶ必要はない
- EC・予約・業務システムなど停止損失が大きいサイトでは、SLAと復旧体制を重視する
SLAとは?
SLAは「Service Level Agreement(サービスレベルアグリーメント)」の略です。サービス提供者と利用者の間で、提供するサービス品質の基準を定める考え方です。
レンタルサーバーやクラウドサービスでは、主に稼働率を基準としてSLAが設定されることがあります。
ここで伝えたいポイント
SLAは「このサーバーは絶対に止まりません」という宣言ではありません。一定のサービス水準と、その基準を満たせなかった場合の補償条件を確認するための仕組みです。
SLAの稼働率99.99%はどれくらい?
99.99%という数字だけでは、実際にどの程度の停止時間を意味するのか分かりにくいため、1年間の時間へ置き換えてみます。
365日 × 24時間 × 60分 × 0.01% = 約52.56分
99.99%の場合、1年間の停止可能時間を単純換算すると約52分34秒です。
| 稼働率 | 年間停止時間の目安 | 月平均へ単純換算 |
|---|---|---|
| 99.9% | 約8時間46分 | 約43分50秒 |
| 99.99% | 約52分34秒 | 約4分23秒 |
| 99.999% | 約5分15秒 | 約26秒 |
注意
月平均4分23秒というのは、毎月均等に4分程度止まるという意味ではありません。実際の障害は、ある月に集中して発生することもあります。
SLAと実際の稼働率は同じではない
SLAで99.99%と定められていても、実際の稼働率が毎年ちょうど99.99%になるわけではありません。
実際には99.999%以上稼働する年もあれば、障害によって基準を下回ることもあります。
SLAはあくまで「どの水準を契約上の基準とするか」を示すものです。
具体例
SLAが99.99%のサービスで、実際の年間稼働率が99.995%だった場合、SLA基準は満たしています。逆に99.98%まで低下すれば、契約条件によって補償対象になる可能性があります。
SLAを下回るとどうなる?
SLAの基準を下回った場合、サービス事業者によっては利用料金の一部返金、サービスクレジット付与などの補償が設定されています。
ただし、補償内容はサービスごとに異なります。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 補償方法 | 返金、利用料金減額、クレジットなど |
| 申請方法 | 自動適用か、自分で申請する必要があるか |
| 申請期限 | 障害後何日以内に申請するか |
| 対象範囲 | サーバー料金のみか、他費用も対象か |
| 上限 | 月額利用料金を超えて補償されるか |
補償=事業損失の補填ではない
サーバー障害で売上100万円を失ったとしても、SLA補償で100万円が支払われるとは限りません。多くの場合、補償はサービス利用料金を基準に定められます。
SLAには対象外条件がある
SLAを見るときに重要なのが、稼働率の数字だけでなく「何が対象外になるか」です。
一般的には、次のような状況が対象外として扱われることがあります。
- 事前告知された計画メンテナンス
- 利用者の設定ミス
- WordPress・プラグインなどアプリ側の不具合
- 利用者自身によるサーバー停止
- 外部ネットワーク障害
- 規約違反による利用停止
- 不可抗力として定められた事象
ここで伝えたいポイント
「SLA 99.99%」という数字だけを見るのではなく、稼働率の計測方法、除外条件、補償申請方法まで読んで初めて意味があります。
SLA 99.9%と99.99%の差は大きい?
数字では0.09ポイントの差ですが、年間停止時間へ置き換えると差は大きくなります。
99.9%:約8時間46分 − 99.99%:約52分34秒 = 約7時間53分
年間では約7時間53分の差です。
停止損失へ置き換える
1時間あたり5万円の売上があるサイトなら、約7時間53分の差を単純計算すると約39万円分の売上時間に相当します。
5万円 × 約7.88時間 = 約39.4万円
実際にこの金額の損失が発生するとは限りませんが、SLAの差を「事業への影響」で考える材料になります。
どんな法人サイトでSLAを重視すべき?
数時間の停止が直接売上へ結びつかない場合、SLAだけを理由に高額プランを選ぶ必要性は低めです。バックアップとサポートを優先します。
停止中は見込み客の問い合わせを失う可能性があります。SLAと障害時の復旧体制を確認します。
停止が直接売上損失になるため、SLA・冗長化・バックアップ・監視体制を重視します。
停止すると業務そのものが止まる場合があります。SLAだけでなく、復旧時間や障害連絡体制まで確認します。
SLAだけでサーバーを選ばない
SLAは重要ですが、法人向けサーバー選びではほかの条件も同時に確認する必要があります。
チェックリスト
- SLAの稼働率
- 補償条件
- SLA対象外になる条件
- 障害時のサポート窓口
- バックアップ保存日数
- 復元方法・復元料金
- 障害情報の公開方法
- プラン変更・サーバー移行のしやすさ
たとえばSLA 99.999%でも、障害時の問い合わせ方法が自社運用に合わなければ、必ずしも最適とはいえません。
SLAとバックアップは役割が違う
SLAはサービスの稼働水準に関するものですが、バックアップはデータを戻すための仕組みです。
| 項目 | 役割 |
|---|---|
| SLA | サービス水準・補償条件を定める |
| バックアップ | 消失・破損したデータを復元する |
| 監視 | 障害や異常を検知する |
| 冗長化 | 一部障害時にもサービス継続を狙う |
初心者はこれでOK
法人サイトでは「SLAが高いから安心」と考えず、SLA・バックアップ・監視・サポートを別々に確認してください。
SLAを見るときの判断フロー
はい → SLAを重要項目として確認
いいえ → 利用規約・SLA条件を読む
いいえ → 返金・クレジット・申請方法を確認
はい → SLAだけでなく冗長化・復旧体制も確認
教科書判定:一般的な法人サイトなら99.99%前後をひとつの目安にする
会社案内サイトならSLAだけを理由に高額プランへ上げない
一般的な会社案内・採用・問い合わせサイトなら、SLA 99.99%前後をひとつの確認基準にしつつ、バックアップ・サポート・復元方法を含めて判断します。99.999%という数字だけを理由に大幅に高いプランを選ぶ必要はありません。
一方、EC・予約・決済・業務システムなど、1時間の停止でも大きな損失が出る用途では、SLAの高さだけでなく、冗長構成・障害検知・復旧時間・サポート体制まで確認してください。
よくある質問
Q.SLA 100%なら絶対に止まりませんか?
100%と表記されていても、計画メンテナンスや対象外条件が設定されている場合があります。必ずSLAの定義と除外条件を確認してください。
Q.SLA 99.99%は高い数字ですか?
年間停止時間へ単純換算すると約52分34秒です。一般的な法人サイトでは一つの目安になりますが、ECや業務システムでは、その停止時間を許容できるかを別途判断する必要があります。
Q.SLAを下回ったら自動で返金されますか?
サービスによります。自動適用ではなく、利用者が期限内に申請しなければならない場合もあります。補償条件と申請方法を確認してください。
Q.計画メンテナンスも停止時間に入りますか?
対象外になることがあります。どの停止をSLA計算へ含めるかはサービスごとに異なるため、規約・SLA条件の確認が必要です。
Q.SLAがないサーバーは法人では使えませんか?
必ずしもそうではありません。停止損失が小さい会社案内サイトなどでは、SLAよりもバックアップ、サポート、料金、運用のしやすさを優先してよい場合があります。
まとめ
この記事の結論
- SLAはサービス品質と補償条件を定める取り決め
- 99.99%は年間約52分34秒の停止時間に相当する
- SLAは障害ゼロの保証ではない
- 除外条件・計測方法・補償申請まで確認する
- 会社案内サイトではSLAだけで高額プランを選ばない
- EC・予約・業務システムでは停止損失から必要水準を決める
- SLAとバックアップ・監視・サポートは別々に確認する
結局、SLAは数字が高いほど無条件に優れているのではなく、自社が許容できる停止時間と損失に合っているかで判断するものです。一般的な法人サイトなら99.99%前後を一つの基準にし、それ以上を求める場合は追加費用に見合う事業上の理由があるかを確認してください。
次に読むなら
SLAの意味が分かったら、次は「法人向けレンタルサーバーの選び方|確認すべきポイント」で、バックアップ・サポート・権限管理・停止損失まで含めて総合的に判断すると選びやすくなります。